井関の[経営コンサル]vol.1
派遣業はどう生きて
いくべきか
とある知人の話
知人に、[エンジニア]を紹介する
会社を設立した者がいる。
いわゆる派遣である。
一般企業からの依頼を受け、エンジニア
を手配するのが業務。
私はその会社の設立に少しだけ携わった。
エンジニアと言っても、得意分野は
みな違う。SEだったり、サーバー管理だったりと、
出来ることもあれば、その逆も当然あった。
今はどこも人手不足だから、
結構な依頼が来て、
うまく軌道にのったように思えた。
業績がふるわない本当の理由とは
会社を設立してまもなく、ある依頼が入った。
{エンジニアを複数比較したい}
という依頼である。
一般企業は、予算に厳しい。だから、
複数のエンジニアで競わせ、
価格を下げようという算段だ。
私たちは、「それで契約するなら」
と快く承諾した。
エンジニアを増やし、競わせる。
それは悪くない。
ただ、エンジニアの事も詳しく調べず、
ただ一方的な紹介をし続ける事が、
私たちの首を締めることになった。
ただ紹介すればいいわけではない
エンジニアにだって、カーストがある。
技術力の差という奴だ。
しかし、私たちは、金稼ぎの為だけに紹介をしてきた。
いかに多く派遣の依頼を受けるか。
いかに多くエンジニアを派遣するか。
エンジニアの技術量なんてどうでもいい。
気づいたら、エンジニアを育て派遣する立場から、
エンジニアに頭を下げ、お願いして行ってもらう立場になっていた。
依頼してくれた企業の事も何も考えていなかった。
育てるのは自分たち
エンジニアからしてみれば、いい加減な仕事をしてても、自分のことを紹介してくれるので、日を追うごとに傲慢になってきた。
「企業からの依頼を紹介してください」
から、「行ってあげる」になってしまった。
私たちからすれば、エンジニアを派遣すればするほどお金になる。
お金に目が眩んだあまり、エンジニアに足元を見られた形だ。
そんな中、この会社を立て直すという依頼を受け、来たのが、私、井関だった。
変えるためには
まず取り組んだのは、エンジニアのランク付け。
ランキングと言っても、
ペナルティは設けず、代わりに報酬をつけた。
というのも、エンジニアは様々なところで繋がりがあり、他に稼ぎ先がある。
だから、ペナルティへの反発による離脱を防ぎたかったのだ。
ランキング上位の者には、報酬を与えたり、紹介料をタダにしたりした。
すると今までとは一転、
エンジニアはこぞって競い始め、お客様に媚を売り始めるまでになった。
人は、メリットがあって初めて動く。
つまり、「きっかけ」と「メリット」を理解させたことで、エンジニアを動かしたわけだ。
言葉でいくら説明したって理解してくれない。
「将来、有名企業でエンジニアできますよ」
とか言って誰が聞くものか。
だから、物理的な報酬で、彼らの心に響かせる。
さらに、ランキング上位者から優先的に紹介することで、
■お客様には良質なエンジニアを
■エンジニアはさらなる努力を、
させることに成功した。
ランキングは、エンジニア本人の前で
(本人に見える形にすることが大事)、
お客様に直接評価してもらい、
公平な査定を心がけた。
その結果、
【お願いして、行ってもらう立場】
から、
【評価して指導する立場】
になった。
派遣会社である私たちと、
エンジニアである彼らの立場を正し、
指導をきちんと聞かせる下準備とした。
派遣業は、明確な立ち位置を
カースト制度を設けることで、
エンジニア自身が技術に磨きをかけ、
それが顧客満足度もあげるという、
いいスパイラルができたわけだ。
顧客満足度が上がることで、リピーターが増える。前に依頼してくれた企業がまた依頼する。いい評判が広がれば、事業が拡大する。
リピーターが増えることで、
エンジニアの自信にもつながる。
本当の意味で、顧客にもエンジニアも
メリットのある派遣業として成功したわけだ。
結果的にエンジニアは、私たちに依存する。
そのうち、報酬を与えなくてもカースト制度にこだわるようになる。
その頃には、主従関係は明確だ。
エンジニアは私たち派遣会社の指示をしっかり聞くし、頼ってくる。
そう。最終的なゴールこそ、ここにある。
本当の成功とは
企業とは常に成長していくことだ。
年に1%でいい。昨年よりも今年を。
今年よりも来年を。
業績が上がれば投資ができる。投資ができれば業務が広がる。業績が広がれば顧客が増える。
成長なんてそんな難しいものだなくていい。
ようは、悪いスパイラルにハマらなければいい。
先程のエンジニアだが、
私たちで率先して研修会も開いた。
エンジニアがいての私たちだ。
エンジニアの技術が上がって悪いことはないだろう。
エンジニアを育てれば、技術があがり、やがて顧客満足度になる。
私たちが見落としてはいけないのは、
派遣しているエンジニアの先に「本当の顧客」がいることだ。
顧客があるから、エンジニアがいる。エンジニアがいるから、私たちがいる。
私たちがいまできることは、何か。
もう一度考えたその時、あなたの会社は大きくなると思う。
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